ブライトン快進撃の理由|三笘薫のクラブがプレミア3位まで来た5つの転機【2026-27】

ブライトン快進撃の理由|三笘薫のクラブがプレミア3位まで来た5つの転機【2026-27】 海外報道の深掘り
写真:Hassocks5489(CC0、Wikimedia Commons)を改変

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いらっしゃい。今夜は、三笘薫のいるクラブの話をさせてくれ。

ブライトンが止まらない。プレミアリーグ7試合を終えて5勝1分1敗、勝ち点16で3位。23得点はクラブの歴史で、この時期として最多だ。前の王者アーセナルを3-0で下し、宿敵クリスタル・パレスには5-0。肝心の三笘はけがで今季まだ1試合も出ていないのに、チームはこの勢いだ。

ただ、この快進撃は偶然じゃない。30年前、このクラブは本拠地を失い、4部リーグからも落ちかけていた。そこからどうやって、ビッグクラブと肩を並べるところまで来たのか。グラスを片手に、5つの転機をたどっていこう。

結論:快進撃の正体は「30年かけて作った仕組み」と「31歳の監督の我慢」

項目2026年10月25日時点
プレミアの成績7試合 5勝1分1敗・勝ち点16・3位
得点/失点23得点・5失点(得失点差+18)
監督ファビアン・ヒュルツェラー(2024年6月就任、当時31歳)
三笘薫2026年5月に左ハムストリングを痛め手術。今季はまだ出場なし。11月の代表ウィーク明けの復帰が目標
次の試合10月25日(日)23時 リヴァプール戦(アウェー)
  • 土台:会長トニー・ブルームの資金と、新スタジアム(2011年)
  • 武器:データで世界中から安く選手を見つけ、高く売る仕組み
  • 今季の上積み:昨季は解任論まで出たヒュルツェラーを、クラブが信じて残したこと

数字で見る、今季のブライトンの強さ

まずは今季の中身から。英BBCによると、リーグ7試合で23得点はクラブがイングランドの4部以内にいた時代を通じて、この時期として最多。10月18日時点で、欧州5大リーグでこれより多く点を取っていたのはバルセロナだけだった。

節相手結果
第1節アストン・ヴィラ(ホーム)○ 4-0
第2節チェルシー(アウェー)● 3-4
第3節リーズ(ホーム)△ 1-1
第4節コヴェントリー(アウェー)○ 5-0
第5節アーセナル(ホーム)○ 3-0
第6節サンダーランド(アウェー)○ 2-0
第7節クリスタル・パレス(ホーム)○ 5-0
  • リーズ戦では、田中碧の直接フリーキックがVARで「ほんのわずかなオフサイド」と取り消された。リーズの地元紙ヨークシャー・イブニング・ポストのファン投稿欄でも、悔しがる声が多かった
  • サンダーランド戦は退場者を出して10人になりながら2-0で勝利。リーグ3試合連続の無失点は、クラブ史上2度目(BBC)
  • 鎌田大地と冨安健洋が所属するパレスとの「M23ダービー」は、開始10分で3点を奪っての5-0。データ会社Optaによると、パレス相手に5点以上は1956年1月以来
  • 10代のハラランボス・コストゥラスは3得点2アシスト。司令塔のパスカル・グロスは、作ったチャンスの数で欧州5大リーグのトップに並んだ(Opta、10月16日時点)
  • ディエゴ・ゴメスはパレス戦で、ハーフウェーライン付近からのロングシュートを決めた。監督は「50メートルのシュートは練習していない」と笑っていた
  • パレス戦の立ち上がりは、プレミアリーグ公式もこう伝えている。

    データ会社Optaも、70年ぶりの大勝を「Crushing(圧倒的)」のひと言で締めた。

私が見ていて感じるのは、前へ向かう速さだ。奪ったら迷わずゴールへ向かい、遠くからでも打つ。それでいて守備は崩れない。勢いだけのチームではないことは、失点5という数字が示している。

最初から最後まで、良かったのは私たちのほうだった。

主将ルイス・ダンク(パレス戦後、BBCより要約)

遠くからでも打つ、という話はプレミアリーグ公式も特集にしている。

ここまで来た5つの転機

転機① 1997年、どん底。本拠地を失い、最終戦で踏みとどまる

1997年、当時の経営陣は本拠地ゴールドストーン・グラウンドを売却した。ファンの激しい抗議を受け、しかもクラブにはほとんどお金が残らなかったとされる、いわくつきの売却だ。

同じ1996-97シーズン、ブライトンはイングランド4部(当時の3部リーグ)の最下位争いの中にいた。最終戦の相手は、同じく残留を争うヘレフォード。1-1で引き分け、得点数の差でかろうじて生き残った。負けていれば、プロリーグから落ちていた。

その後の2年間は、約110キロ離れたジリンガムのスタジアムを借りて「ホーム」の試合をした。1999年からは陸上競技場を改装した仮住まいのウィズディーン・スタジアムで、なんと12シーズンを過ごしている。

転機② 2009年、トニー・ブルームが会長に。2011年、新スタジアムへ

流れを変えたのは、トニー・ブルームだ。2009年5月に会長に就き、新スタジアム建設の資金を出して、クラブの株の75%を持つオーナーになった。

2011年、ファルマーに新スタジアム(今のアメックス・スタジアム)が完成する。最初の収容は約2万2千人で、今は約3万1千人まで広がった。さまよい続けたクラブに、ようやく帰る家ができた瞬間だ。

転機③ 2017年、クリス・ヒュートン監督のもとでプレミア昇格

2016-17シーズン、2部のチャンピオンシップで2位に入り、プレミアへ昇格した。率いたのはクリス・ヒュートン。派手さはないが堅い守りのチームで、トップリーグに足場を築いた。ここから、ブライトンは一度もプレミアから落ちていない。

転機④ データで選手を探す仕組み。三笘もここから見つかった

ブライトンの最大の武器は、選手の見つけ方だ。2017年にはブルーム会長に近いデータ分析会社「ジェームズタウン・アナリティクス」が生まれ、世界中の選手や監督を数字で評価している。2024年11月には、クラブは昔ながらのスカウト部門を半分に減らしたとも伝えられている。

象徴的なのが2人の補強だ。2021年2月、エクアドルの10代だったモイセス・カイセドを約450万ポンドで獲得し、2023年に当時の英国史上最高額の1億1,500万ポンドでチェルシーへ売った。そして同じ2021年、川崎フロンターレから三笘薫を推定300万ユーロ(約250万ポンド)で獲得している。三笘は労働許可の関係で、まず1年間ベルギーのユニオン・サン=ジロワーズでプレーし、2022-23シーズンにプレミアでデビューした。

英メディアGOALによると、ブライトンがここ数年で選手の売却で得たお金は6億ポンドを超える。この夏もMFカルロス・バレバを約7,000万ポンドと報じられる額でマンチェスター・ユナイテッドへ売った。主力を売っても、次の才能がすでに用意されている。これが「売っても弱くならないクラブ」の正体だ。

ブライトンは選手を育て、そして売らざるを得ない。ビッグクラブが最高の選手を持っていくからだ。

元ブライトン監督マーク・マギー(GOALより要約)

転機⑤ デ・ゼルビで初の欧州へ。そして31歳のヒュルツェラー

2022年9月に就任したロベルト・デ・ゼルビ監督のもと、2022-23シーズンはクラブ最多の勝ち点62で6位。初めて欧州の大会(ヨーロッパリーグ)への切符をつかんだ。三笘がプレミアで一気に名を上げたのも、このシーズンだ。

翌2023-24シーズンには、ウルヴァーハンプトン戦でドリブルから決めたゴールが、プレミアの年間最優秀ゴールの候補に選ばれている。プレミアリーグ公式も「三笘は本当に、本当にうまい」とひと言だ。

デ・ゼルビが去ったあと、2024年6月にクラブが選んだのはファビアン・ヒュルツェラー。就任時31歳で、プレミアの正式な監督として史上最年少だった。ドイツの5部リーグで監督をしていた経歴もある、異色の指揮官だ。

昨季は解任論も。それでもクラブは監督を信じた

今の快進撃からは想像しにくいが、ヒュルツェラーは昨季、厳しい立場にいた。BBCによると、ホームでパレスに敗れたころには、ファンから「何をしているか分かっていない」という声が飛び、解任を求める空気もあった。ファンサイト「We Are Brighton」の編集者も、当時は監督が手詰まりに見えたと振り返っている。

それでもクラブは、昨季の終わりを待たずにヒュルツェラーと長期の新契約を結び、この夏は約1億5,000万ポンドの補強資金を渡した。昨季は8位でカンファレンスリーグのプレーオフに回ったが、それを勝ち抜いて欧州の舞台に戻ってきた。

あきらめるか、もっと強く押し続けるか。私はいつも後者を選ぶ。

ファビアン・ヒュルツェラー監督(BBCより要約)

好調の今も「まだシーズンは始まったばかり。謙虚でいなければならない」と、浮かれる様子はない。勝って騒がず、負けて折れず。私の店のカウンターにも座ってほしい男だ。

そのサッカーを、英スカイ・スポーツの解説者ジェイミー・キャラガーは「クロップをとても思い出させる」と評した。リヴァプールの黄金期を知る男の言葉だけに、重みがある。

三笘薫はいつ戻る? 戻ってからの居場所は

三笘は2026年5月9日のウルヴァーハンプトン戦で左ハムストリングを痛め、手術を受けた。この夏のワールドカップにも出られず、今季はまだ公式戦に出ていない。カンファレンスリーグのリーグフェーズの登録メンバーからも外れている。

サッカーキングによると、ヒュルツェラー監督は11月の代表ウィークのあたりでの復帰を願いつつ「もう少し辛抱が必要」と話している。目安は、代表ウィーク明けの11月22日のハル・シティ戦だ。ハルには守田英正がいる。復帰戦がいきなり日本人対決になるかもしれない。

代表ウィークのあたりで戻ってきてほしい。ただ、もう少し辛抱が必要だ。

ヒュルツェラー監督、三笘薫について(クラブ公式サイトの談話をサッカーキングが紹介。要約)

ただし、ポジションは約束されていない。三笘のいない左サイドでは、マキシム・デ・カイペルが結果を出している(Number)。チームが勝っているからこそ、戻ってからの競争は厳しい。逆に言えば、三笘が戻ればこのチームにもう一枚、相手を一人で崩せる切り札が加わる。私はそこに一番わくわくしている。

その切り札ぶりを思い出したければ、2024-25シーズンのチェルシー戦を見てほしい。後ろからのロングボールを、ぴたりと足元に収めてそのまま決めた一撃だ。ブライトンは3-0で勝ち、プレミアリーグ公式は今も「何度でも見たい」と紹介している。

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これからの日程:今夜のリヴァプール戦から、シティと2連戦

日時(日本時間)大会対戦
10月25日(日)23:00プレミアリヴァプール 対 ブライトン
10月29日(木)4:30リーグカップマンチェスター・シティ 対 ブライトン
11月1日(日)0:00プレミアマンチェスター・シティ 対 ブライトン
11月8日(日)23:00プレミアブライトン 対 ブレントフォード
11月22日(日)23:00プレミアハル・シティ 対 ブライトン

まずは今夜、遠藤航のいるリヴァプールの本拠地アンフィールドに乗り込む。そこから首位シティと、カップ戦とリーグ戦で2連戦。この2週間で、ブライトンが本物かどうかがはっきりするはずだ。日程は変わることがあるので、最終確認はクラブ公式で頼む。

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私のひとこと

与論島には、客人に杯を回す「与論献奉」という習わしがある。一杯ずつ順番に、途切れずに回していくことで、場がひとつになる。

ブライトンの30年も、少し似ている。本拠地を失ったファン、身銭を切った会長、数字で選手を探す人たち、そして一度は批判された若い監督。誰かが杯を落としていたら、今の3位はなかった。三笘は、その杯を受け取る日を待っている。戻ってきた日には、私も一杯献じるつもりだ。

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ほかの日本人選手の話は、プレミアで戦う日本人9人の現地評価や、鎌田大地のプレミア初ゴールの記事でどうぞ。腕試しならプレミア×日本人選手クイズもある。

今夜の献奉はここまで。また次の試合で会おう。――FOOTY BAR

参考にした記事

※情報は記事作成時点(2026年10月25日)のものです。

アイキャッチ写真:Hassocks5489(CC0、Wikimedia Commons)を改変

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